第5回 研究会の活動報告

【日時】 平成261012日(日) 10001330


【場所】 Wing PRO事務所


【出席者(敬称略)】 伊津見一彦,榎本容子,武澤友広,(以下,Wing PROの方々)新堀和子,市村たづ子,藤岡美和子,ボーバル聡美,(以下,首都大学東京 梶原 康博 先生のゼミ生)山崎,高橋(計9名)


【活動報告】

 今回は,当研究会のメンバーである伊津見さんが開発に携わられた「携帯型マルチメディアデータベース」を発達障害者の就労支援に活用できる可能性について,発達障害者の就労・生活支援に関する活動を展開されているNPO法人「Wing PRO」のみなさまにご意見・お提案を伺いました。「携帯型マルチメディアデータベース」がどのような機器なのかを説明すると,この機器で物を写真にとると,事前にその物に関連づけられた情報(工具の使用方法など)を機器に表示(テキスト,写真,動画)させることができます。この機器は,もともとは外国人労働者を対象にした教育支援機器でした(伊津見,2012)。しかし,「作業の手がかりとなる情報を使用者の特性に応じた形式で提示できる」機能が,発達障害者を対象とした支援技術としても活用できるのでは,と考え,当研究会でも検討を進めている技術です。

 今回の研究会では,コンピュータの組み立て作業において,途中まで組み立てができた状態を機器で撮影して,「どのパーツの組み立てがまだ済んでいないか?」という情報を視覚的に提示する機能を首都大学東京の学生さんたち(山崎さんと高橋さん)に実演していただきました。




 Wing PROのみなさまからは,就労支援の経験に基づいた貴重なご意見をたくさんいただきました。一例を示すと,機器で判断に困った状況をあらわす写真を撮ったら,社内のだれに相談すべきかを担当者の顔写真つきで検索・表示してはどうかというご意見をいただきました。できるだけ本人が独力で仕事を遂行するための情報支援機能は,本人や周囲の人々のコミュニケーションに関する負担を軽減するものと考えていましたが,使いようによっては必要なコミュニケーションをも抑制しかねません。必要なコミュニケーションを促す情報を提示することで,そのようなリスクを軽減できることに気づかせていただきました。今後は,頂いた意見を参考にしながら,実用化に向けた就労現場での試用を進めていきたいと思います。本支援技術の試用に関して,ご興味のある方がいらっしゃれば,当研究会にご連絡いただければ幸いです。

 Wing PROのみなさま,また,機器の実演をしていただいた首都大学東京の学生さん,ご協力,ありがとうございました。

 NPO法人「Wing PRO」のホームページ: http://www.wingpro.jp/

引用文献

伊津見一彦,梶原康博,滝 聖子,江澤 昇,赤鹿智之,“設備保全技術教育支援装置の開発”,日本設備管理学会平成24年度秋季研究発表大会論文集,pp.31-34201211


報告者:武澤 友広