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【日時】 平成27222日(日) 13301630


【場所】 徳山工業高等専門学校 教室管理棟3階 演習室


【出席者】 尾形孔輝,小越咲子,近藤周吾,武澤友広,南部淳子,南保英孝,細田憲一,松山久義三浦靖一郎,吉岡隆,徳山工業高等専門学校の学生2名,株式会社 山下工業所 竹本勇一(計13名)


【活動報告】


今回は「インターンシップによる就労準備支援」というテーマで、徳山工業高等専門学校の機械制御専攻科の林尚宏さんから「オムロン京都太陽でのインターンシップ」(実施期間:2014年6月‐8月)に関する報告をいただきました。このインターンシップは、徳山工業高等専門学校の三浦さんとオムロン京都太陽の吉岡さんの当研究会での出会いが契機となって実現したものです。


本インターンシップにおいては、企業と学校は「障害の重度化に対応できるようなユニバーサルデザインのマインドを持つ技術者を養成したい」という共通の目標を設定していました。企業と学校の目的の整合性は、インターンシップの前に打ち合わせをおこなうことでとられていました。その結果、学生に対しては「どのような障害のある従業員でも利用できる(つまり、ユニバーサルデザインの)治具を設計から開発まで行う」という、目的に整合する実習内容が課されていました。そして、インターンシップの結果、学生はインターンシップから半年経った現在でも使われ続けている治具を開発することができました。また、学生はインターンシップを経験することで「必要な機能だけでなく、安全性や効率、サイズなどを考慮し、作業者を第一に考えて開発すべき」という考えを持つに至り、将来像として「人のためになるようなものをつくる姿」をイメージできるようになったとのことでした。活動報告の後のディスカッションでは、インターンシップの成果に寄与した要素について話し合いました。


また、研究会の翌日には、株式会社 山下工業所(http://www.yamashita-kogyosho.com/)の見学会が開催されました。平らな板から新幹線のあの美しい曲線が職人の手から生み出されているという事実を垣間見ることができ、人間の可能性に感動しました。また、社長さんの職人の価値を残すための戦いに関するお話も大変興味深く拝聴いたしました。山下工業所の皆様には、大変貴重な機会をいただけましたこと、この場を借りて御礼申し上げます。


以下、研究会の参加者から寄せられた感想を紹介します。


 【エンジニアより】


 インターンシップの発表はとても素晴らしかったです。学んだことの多さと的確さに、学生の吸収力と、実習の環境の素晴らしさを感じました。また今までの技術力の蓄積があったからこそ、インターンシップで実力を発揮できたのだと思い、基礎的な技術の学習の積み重ねの大切さを痛感しました。(整理整頓の大切さやオフの時間の過ごし方の大切さも改めて感じました。)オムロン京都太陽の方が、インターンシップに参加した学生が、最後に達成感や充実感、幸せを感じられることをまず目標にし、それを受けて障害者の従業員の方が幸せを感じられるように目標をおいて、PDCAサイクルを回されていることを意識的に計画されたことが素晴らしく、研究会の就労支援技術にもつなげなければと思います。ものを作ることを目標とするのではなく、人間の成長や達成感を目標の中心においた結果が、よいものを作るということにつながったということを、今後も忘れないようにしたいと思います。また、三浦先生のユニバーサルデザイン2.0の考え方がとても興味深く素晴らしいと思いました。吉岡様、三浦先生、ありがとうございました。林さん今年も頑張ってください!


【エンジニアより】


 今回のインターンシップの発表を伺って、当研究会の大きな成果の一つが得られたと感じました。技術者教育、障害者の就労支援、設備管理(治具作成)のノウハウなど、多様な面での実績が非常にうまく融合した結果ではないかとおもいます。


【大学で学生相談を担当している教員より】


 研究会では、徳山高専の林さんからは、インターンシップの報告や感想を、また、オムロン京都太陽の吉岡さんからは、受け入れ側の準備・受け入れ・受け入れ後の取り組みを聴かせて頂きました。インターンシップ体験を進級に必要な単位としていること、さらに最低2ヶ月間の体験を必修としているとのことに驚き、この時代に生きる若者の本質を見抜いた徳山高専としての決意の強さを感じました。また、オムロン太陽京都がインターンシップを受け入れるにあたってのプランの緻密さにも感服しました。


発達障がい学生の支援をする上で、最大の関心事は若者の社会への接続であります。それは発達の問題を抱えた若者が、社会との接点で生きる自己をイメージできないからです。今回、林さんに2ヶ月間のインターンシップの感想を尋ねますと、「仕事をしている自分がイメージできた」「このまま就職しても良いと思った」などという返答が得られました。障がい学生を社会に送り出す準備段階として、あらためてインターンシップの重要性を認識できたことは大きな収穫であったと思います。また、送り出す側の準備、特に学生のマインド醸成と受け入れ側との相互理解や意思疎通が決め手であるというヒントを得ることもできました。


【高等専門学校の教員より】


 徳山高専専攻科生の報告は、3つの意味で興味深いものでした。1つはこれまでの研究会の流れが生かされたこと、もう1つはオムロン京都太陽様および三浦先生の「ユニバーサルデザイン」の有効性を再確認できたこと、最後はシーズとニーズのマッチングも含め、学生・教員・受け入れ先・健常者・障害者といったすべての当事者の関係が具体的かつ立体的に浮かび上がってきたことです。オムロン京都太陽様の見学会、前回の三浦先生の報告がよい準備工作となり、これまでの取り組みを“線”として理解することができました。障害者にとって使いやすいものを追求することは、健常者にとっても、教育にとっても、有意義であることを教えられました。高専教員としても非常に得るものの大きな報告で、これからの取り組みにも、熱視線を送り続けたいと思います。


見学会で驚いたのは、ハンマーによる叩きというものづくりの技能の伝承、後継者探しという問題を、楽器制作などのシンボルづくりによって克服した総合力に対してでした。ご好意により、実際にアルミ製のヴァイオリンを試奏させていただきましたが、音色や音量、さらには体感として、すばらしいものだと仰天されました。ただの見かけ倒しの看板にするのではなく、フォルムから機能に至るまで、最高の品質を実現しようとする姿勢に頭が下がりました。総合力でものづくりの現場を支えることは、研究会の姿勢とも相通ずるものがあり、山下様はじめ、お世話になった皆様には心より感謝申し上げます。


報告者:武澤友広

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