第11回 研究会の活動報告

【日時】 平成271113日(金) 13301700


【場所】 オムロン京都太陽株式会社


【出席者】 吉岡隆,小越咲子,尾形孔輝,白崎久美,南部淳子,三浦靖一郎,山中康弘,林尚宏,片山陽太,小越康宏,百瀬周,朝井綾憲,高原彬,後藤尚志,江本晃美,梅田幹人,吉田健吾 (計17名)


【活動報告】


 まず,障害のある当事者が自身の特性を踏まえた就労支援技術の開発を行い,誰にとっても働きやすいユニバーサルな職場環境づくりを行っているオムロン京都太陽株式会社の見学をさせていただいた.また,20146月〜8月にかけて実施された長期インターンシップにおいて開発された自動ラベル剥離貼付装置(林・徳山高専)については,見学時にその装置の稼働を直接見ることができ,現在も使われていることを確認することができた.


 研究会においては,本研究会の趣旨説明の後,「特例子会社の訪問調査報告 〜ユニバーサルデザイン環境や技術の視点から〜」(三浦・徳山高専)の発表があった.この発表では,発表者が20169月に製造業を中心とした特例子会社13社を訪問・会社見学した様子について報告がなされ,特例子会社は様々な運用形態を持つこと,製造業の現場には特例子会社においても技術者の存在が不可欠であること,特例子会社は日常生活・スポーツ・健康などQOL向上に積極的であることなどが報告された.


 なかでも,障害者の就労の場である特例子会社と福祉工学・工学系研究者との接点が皆無である報告がなされたことに,参加者は驚いていた.その後,オムロン京都太陽でも,年間4000名以上の見学者があるが,福祉工学・工学系研究者の見学は記憶にないということも付け加えられ,今後,教育の場と就労の場との接点をいかに増やしていくか,特に特例子会社の存在を高等教育機関にいかに知ってもらうかが今後の課題であるという見解で参加者の意見が一致した.


 次に,研究会で現在開発中のコミュニケーションに関する就労支援準備教材『就コミュ!』の開発会議が開催された.まず,就コミュ!のシステム開発状況について報告があった(吉田・合同会社ピュリフォリア).さらに,就コミュ!のコンテンツに関する報告がなされた(江本・梅田・福井高専).コンテンツ例は,学生による就職活動の実体験をもとに作成されており,説得力のあるものであった.今後,これらのコンテンツ例をもとに,専門家の意見を仰ぎながら,正式なコンテンツとして使用される運びとなった.


【支援者より】


 現場とのやり取りを通して実際に使う人に適応するよう作業者を第一に考え、形に残るテーマに取り組み治具を完成させた林くん。やり遂げた達成感、理解の深まりが自信へと繋がったのでしょうか。以前よりたくましく見えました!


 林くんの実習先である【オムロン京都太陽(株)】に大変興味がありましたが実際に見学させていただいて驚きの連続でした。圧倒的数の治具。一つ一つに貼られたラベル。整然とした作業場。障害者に配慮された設備&環境。(電気のスイッチの位置や廊下・エレベーターの広さ、緊急時の避難用にベランダが活用できる、色ごとのガイドライン等)何よりも【支援者が付き添わずに自立し作業をおこなっている】これに集約されていると思います。


 まさしく人間性の尊重。社憲や理念に基づいた人財育成。現場のニーズに応え人のためになるものを作る技術者。林くんにつづいて長期のインターンシップに参加する学生さんが増えるといいですね。三浦先生が語ってくださったように教育や医療、福祉機関と特例子会社が連携し実働の対価に学びをいただくようなシステムが実現すると豊かな社会に繋がることにもなるのかなと思わせていただきました。


 


報告者: 三浦靖一郎