第7回講演会(2009年度)

★☆★ 「最新設備診断技術の実用性に関する研究会」との合同研究会 ★☆★

【日時】2009年11月10日(火)13:00-18:00
 

【場所】芝蘭会館別館 研修室2(京都市左京区吉田牛ノ宮町11-1)


【講演1】ものづくりをわかりやすく革新する波形解析・波形判定技術

【講師】中山 慎司 氏((株)データスピリット・中山水熱工業(株) 代表取締役)

【概要】一定の動作を繰り返す工程におけるサイクル波形データを重ね書きして統計処理を行う波形解析を紹介する。標準偏差により簡単に繰り返し精度の評価を行ったり,リアルタイムで異常判定を行うものである。集合波形データの標準偏差を用いた上下限波形を生成することによって,漸次劣化の限界判定や突発異常の検出を高い確度で実現している。自動車メーカにおいて品質の安定と向上,製造精度の向上,地球温暖化対策や大幅なコストダウンを実現した事例を紹介する。この技術の応用範囲は非常に広く,日本の産業界における技術開発,品質,コスト,CO2排出削減などの競争力に大きく貢献できることを期待している。


【講演2】製造不良要因分析へのデータマイニング活用

【講師】山田 賢太郎 氏(キヤノンITソリューションズ(株) 数理技術部)
 

【概要】製造業の品質管理において,データマイニングは90年代頃より活用されている。データマイニングは,従来の統計解析手法を代替するものではなく,補完することで品質管理力の底上げを図る技術であり,その活用に際しては,種も仕掛けも重要といえる。本講演では,製造業での実際のデータマイニング活用を支援してきた経験を踏まえて,データマイニング活用の考え方と事例について述べる。


【講演3】自然言語処理の基礎とその産業応用

【講師】桝井 文人 氏(北見工業大学 工学部情報システム工学科 准教授)

【概要】テキストマイニングが注目されている。これは,構造化されていないテキスト情報を単語やフレーズの単位に分割し,それらの出現頻度や関連性を分析することによって有用な情報を取り出そうとする手法である。本発表では,まずテキストマイニングの根幹を支える自然言語処理の要素技術について説明する。さらに,我々が取り組んできた工場トラブル管理への応用事例を紹介し,自然言語処理技術の産業への応用可能性について述べる。


【講演4】振動解析による電動機駆動系の異常診断法の紹介

【講師】豊田 利夫 氏((有)日本診断工学研究所 主任研究員)

【概要】電動機駆動系の振動解析による異常劣化診断法を紹介します。講演内容は:
(1) 電磁力による回転機械振動の基礎理論
(2) 電磁振動の測定解析法
(3) 電磁振動の特徴周波数と異常の関係
(4) 診断事例の紹介

 

【講演5】レシプロ圧縮機の異常検知技術紹介

【講師】河部 佳樹 氏(GEエナジー・ジャパン セールスグループ)

【概要】レシプロ圧縮機の異常検知技術としては,シリンダ圧力センサを用いるもの,バルブ温度変化を見るものが大半であった。シリンダ周りの漏れに関してはこれらのセンサにより検知可能であるが,駆動部の緩み・ガタは,クロスヘッド部の加速度センサを用いないと検知ができない。今回は,シリンダ圧力センサおよびクロスヘッド加速度センサを複合することによる異常検知例を,テスト装置を用いたデータにより紹介する。


【講演6】熱交換器振動原因検討(チューブ不具合解析)

【講師】宮崎 修治 氏(三菱化学(株) 鹿島事業所)

【概要】昨年,弊社の熱交換器に不具合(熱交チューブ減肉)が発生した。減肉はバッフル部のチューブ外面に発生しており,またこの熱交換器内部には以前から異音が発生していた。これらの事を踏まえ原因究明の結果,この減肉はシェル内部流体(水)の渦励起振動を起因としたタイロッドとの共振(カルマン渦共振)により発生したと判断した。今回は,これまでの検討結果について報告する。