ものづくり大賞 過去受賞者

●第9回(平成21年度)

受賞企業 業績課題 受賞理由
アース・バイオケミカル(株) 殺虫剤・農薬を使用しないユニークな害虫駆除商品の開発
 
候補の技術は,安全性・環境への配慮から化学薬品を使用しない害虫駆除が強く望まれていることを背景に,紫外線や粘着シートを用いた無農薬の従来法では効 率的な害虫駆除ができない課題を克服したものである。すなわち,昆虫の複眼網膜電位の測定にもとづく走光性と地場産業としてのLEDとをうまくマッチング させ,無農薬害虫駆除方法として実用化しており,独創的かつ有用な環境に優しい製品開発である。さらに以下の点においても高く評価できる。
(1)研究員を学会等に積極的に参加させて新しい技術・情報をウォッチしている。OJTによる技術伝承も機能している。
(2)マーケティング戦略や課題の抽出が明確で,品質管理,リスク管理も的確に実施されている。
(3)製造現場からの改善提案が多く,効果的な案件については迅速な対応が行われている。その成果に対する表彰制度も構築されており,現場で働く従業員のモチベーションアップにつながっている。
(4)地場産業製品であるLEDを積極的に活用し,産官学との共同研究を推進する等,地元への貢献も大きい。
ナンバーワンよりもオンリーワンの商品開発を標榜し,それを新しい発想と絶え間ない努力で実現してきている。
(株)加貫ローラ製作所  111年の伝統と高度な技術力で印刷ならびに先端産業を支えるゴムローラのものづくり 創業以来111年間にわたりゴムローラの開発・製造に当たり,顧客ニーズに応える製品を作り続けており,優れた技術を有 している。
審査の結果,以下の点において高く評価できた。
(1)顧客ニーズ(耐熱性,弾力性等)に応える製品を作るための配合技術を長年にわたって蓄積し,独自のノウハウを有している。
(2)使用によって摩耗したローラの再生事業および海外企業に委託しての海外での製造事業等,収益性の高いビジネスを展開している。
(3)ローラ鉄芯の内製化を達成し,顧客ニーズに迅速に対応できる体制を構築するなど価格,及び短納期対応力の向上も着実に果たしてきている。
(4)新入社員を関西ゴム技術研修所に10ヶ月間派遣することにより,ゴム技術に対する基礎教育をきちんと行っている。
(5)工場内では,若手社員と熟練社員が協力して仕事をする体制になっており,OJTによって若手の教育が行われている。
(6)営業職がユーザーの要望をきちんと把握できるように営業職に対しても製造技術を学ばせている。また,営業と技術との交流会を実施し,社内での技術の共有を図っている。
以上のように,豊富なノウハウに基づく顧客目線でのものづくりを行っている。

 

●第8回(平成20年度)

受賞企業 業績課題 受賞理由
鍋屋バイテック会社 寿司バーコンセプトによる設備および管理システムの開発
 
顧客満足度の向上を考えれば、結果としてシェアが上がり利益が上がるとの方針で経営を行い、これまで石油ショックやバブル崩壊後においてさえも黒字を続け てきている。社員にとっての幸せを根本に考え、目標に縛られる欠点を強く意識されている。
製品自体は、ハイテクな要素の少ないVプーリであるが、産業機械の個別で小規模な(1個単位の)注文に応じるという観点で、差別化が実現し、同業界の他社 が撤退されている状況でも、価格を自社で設定し、黒字経営を実現し続けている背景には、汎用
で高級な機械を購入するのではなく、必要な機能を集約した独自の製造装置を開発し、40,000点以上の種類の商品を即日出荷できる在庫管理システムを自 社開発している「自前で行う」という会社の哲学がある。「何でも自分たちで考え、自前でつくる」という精神は、失敗を恐れず挑戦することを推奨し、業務と 無関係でも各自の学習を支援し、手当てを支給する社員教育の体制に支えられ、強い経営基盤が構築されている。
(株)フジワラテクノアート  職人技能と醸造機械との融和による麹づくりプロセスの全自動無人化 麹菌の固体培養を利用した日本古来の独特な醸造技術において、職人技能のファジー制御導入による全自動無人化に成功し、そのオンリーワン技術によって国内 の製麹機械の70%、製麹能力の80%のシェアという当該分野でNo. 1の地位を占めている。
さらに審査の結果、以下の点において高く評価できた。
(1)頑固な職人の多種多様な経験をヒアリングしつつ理論化し、多くの労力をかけ、ほぼ独自に方法論を確立した上で実プロセスを構築している。
(2)技術伝承において、各種のノウハウを共有化できるシステムを構築・活用している。
(3)トップの目配りが効いており、内部のコミュニケーションや上司のフォローアップ体制も充分機能しているため社員の目標達成度が高く、業務の中でPDCAがうまく回っている。
(4)機器や設備を納入した後のサポートもしっかりとなされ、顧客との信頼関係強化に取り組んでいる。
(5)顧客ニーズへの対応のみでなく、環境改善等にも成果をあげ、自社技術を有効活用した、食料資源を原料に用いないバイオ燃料の開発など、今後社会全体にも良い意味でのインパクトを与えるものと期待できる。
醸造技術は重労働であり、経験も要するため後継者不足が深刻である。(株)フジワラテクノアートは、その困難な技術を新しい発想と絶え間ない努力で前進さ
(株)エイ・アイ・シー   従来のスクリーン印刷のメリットならびにデメリットを考慮し、従来市場における代替ならびに新市場を開拓すべくインク ジェットプリンタを開発し、高品質、多品種・短納期の要求が高い市場ニーズに対応したものづくりを実現した。開発した製品の具体的な特徴は、以下のとおり である。
(1)独自開発したインク、印刷機本体、制御ソフトウェアを組み合わせること(ハードとソフトの融合)による、溶剤系インクジェットプリンタの開発
(2)溶剤系インクジェットプリンタは、業界においてオンリーワン製品で、オンデマンド印刷を世界で初めて実現
(3)競合となるUV形式のプリンタに対してスピードは劣るものの、低コスト、印刷媒体の多様性、印刷品質の高さで大きく上回る
(4)少ロット多品種生産における製版のレス化、印刷時に使用する六価クロムのレス化、インク使用量の減量等、環境性能の大幅な向上
(5)スクリーン印刷における熟練工の動作をデジタル化するのではなく、インクジェット技術を活用することによるデジタルイノベーションの実現
これらの成果が認められ、兵庫県より経営革新計画、新産業創出支援等の公的支援も得ている。
中山水熱工業(株)  トラブル管理支援システムの開発と設備診断システムの普及 中山水熱工業?殿は、設備のトラブル管理を支援するシステムを開発した。これは保全関係の職場で使われている保全マン特 有の言葉で書かれた日報から知識データベースに落とし込むシステムで、この技術の核となるものは知識検索、関連データの抽出にある。これにより専門家の蓄 積したデータを専門家のまわりにいる人たちや新人に役に立つと評価されているものである。また、売り上げ目標や利益目標を達成している。(直近3年間で年 率約9%の増加) 
顧客に対し、工事では修理に迅速な対応は基より、予防保全、予知保全の経済性の検討を行い、顧客側で最小コストになる設備管理法の提案を行っている。提案 の質を向上させるために、大学発ベンチャーも立ち上げている。この成果の一つに革新的な標記の「トラブル管理支援システム(ミニマモ)」の開発があり、自 動車産業を中心に現場で活用され,そのシステムの維持・改善をも支援している。
同社の提供するユーテリティコンサルタントや工事のサービスにたいして、建設業法、消防法,労働安全衛生法について熟知し、社長自らエネルギー管理士、1 級管工事施工管理技士の資格を有している。また市場動向に応じ、エコロジーに対し明確な戦略をもち、次のビジネスの核として?グリーンユーテリティ設立に 関与。ビジョンに基づく経営を行い、これまで、安定した黒字経営を続けてきている。
ボイラー整備士、施工管理士など建設業法に必要な教育を推し進めるとともに社員の幸せを根本に考え、社員全員での海外旅行など家族的な一体感をつよく意識 されており、工事事業はISO9001・2000の認証取得もしている。社長中山氏は名古屋大学や名古屋工業大学の講師に就任する等、精力的に「ものづく りの一環としての設備管理」の展開を推進している。
(株)前田シェルサービス ハイエコタイヤなどのユニークな商品の開発を通じた設備管理・環境への貢献
 
(株)前田シェルサービス殿が独自の技術で製品化したハイエコタイヤは、フォークリフト用の廃タイヤの再生利用により製造され、タイヤのコスト削減、タイヤの 廃棄問題の解消、CO2削減、工場床面の黒粉塵付着の解消など、経済性、省資源、環境保全に貢献する画期的な製品である。また、この製品の開発に限らず、 これまで高性能なエアーフィルター・シェル中子・金型・ウレタン樹脂成形品など、ユニークな商品開発を含んだ設備管理に関する広範囲な企業活動を行ってお り、愛知ブランド企業やものづくりブランドNAGOYA認定をはじめ日本プラントメンテナンス協会のPM賞も5回受賞している。審査を行った結果、ものづ くり大賞審査項目のうち、特に「ものづくり全般」および「環境・省エネルギー・省資源」という項目に優れていると考える。「ものづくり全般」については、 激変する経済環境下において、勝ち残りをかけた全社員が守るべき方針、指示、指令、方策が具体的に示され、お客様や社会に貢献するための努力が不断に払わ れている。「環境・省エネルギー・省資源」については、会社の環境理念に基づく環境方針が出され、全員参加で環境対策に取り組んでおり、ハイエコタイヤな どの環境に優しい製品を積極的に開発・販売すると共に、2008年5月に環境マネジメントシステムISO14001も認証取得した。

 

●第7回(平成19年度)

受賞企業 業績課題 受賞理由
(株)イオンイーハート  レストラン及びフードコート内ショップの総合運用チェーンシステム 外食産業におけるレストラン業態、フードコート状態、従業員専用レストラン業態において幅広い総合運用チェーンシステ ムを構築している。特に、プロダクトライフサイクルが極端に短い「食」づくりを複数拠点間において管理・調達・製造業務を統合連携して、店舗への来客 に対する「おもてなしの心と行動」がもとづくサービスづくりを実現し、同業他社に対して競争優位性のあるサービスマンマネジメントを展開している。
京都機械金属中小企業青年連絡会 中小機械金属工業企業群の学び合いによる製造中核人材育成
 
京都府内の機械金属工業および関連業界の、45歳までの若手の中小企業経営者の交流機構であり、これまでに約26年の歴史を刻んできた。こうした長年にわ たる学び合いの成果は、会員企業自体が実感しているだけでなく、最近では、京都試作ネット、テクノロジーユニット、アルファース京都、京都マネジメン ト研究会などとして結実している。また、2005?06年度に、経済産業省の「産学連携製造中核人材育成事業」の支援を獲得し、会員企業の中核人材向け の、実践的な人材育成プログラムの開発と立ち上げに成功している。
リキッドコンサンド(株)   擬集濾過・油水分離・重金属イオンの除去を、単なるフィルター構造で達成するシステムを開発した。この技術の核となるSAフィルタの機能は擬集効果をフィ ルター内の流水に与える事であり、これにより、擬集剤を使用しない濾過システムを構築している。その後も擬集システムのメカニズム解明を推進し、電荷0 ポイントを応用し、粒子間距離を縮める事を発明し、この中で電荷0ポイントのpHが比較的高いMg(OH)2を使用するのが有効であることを発見し、 現在では除去粒子径10nm(0.1μm)までの除去に成功している。主力製品であるSAフィルタの納入実績も1200社を超え、昨今の排出規制強化もあ り、各方面から注目を集めている。

●第6回(平成18年度)

受賞企業 業績課題 受賞理由
住重試験検査(株) 物理的エネルギーを利用したユニークな技術サービス 顧 客要求の設備診断に対する要求(健全度評価や余寿命診断)に対して、超音波や赤外線を用いた非破壊検査、放射線を用いた評価・診断サービスを提供し、特に 放射線エネルギーを利用する技術においては非常にユニークなサービスを提供する会社である。設備管理に関わる各種の基盤技術を所有し、それらのベースの上 に、サイクロトロンに代表される放射線技術を、独自の診断技術方法論として構築している点を評価して受賞とした。
千代田工商(株)常務取締役 岡田 八郎 氏 石油精製圧力容器の水素環境下における機能故障防止技術の研究と普及 1974 年に国内某製油所で発生した重油直接脱硫装置の反応塔における溶接補修中の脆性破壊事故で、その原因調査の過程で判明した石油精製装置として初めて経験す る諸現象(焼戻脆化、ステンレスオーバーレイの剥離、ステンレス溶接金属の水素脆化)を解明して、これらの経験を同様の装置を持つ他製油所にも情報提供 し、安全、安定運転に役立てることを長年行っている。これらの経験のノウハウを、シンポジウムを通して共有するなど全管理に関する技術伝承、並びに保守管 理に関する技術発展に貢献した点を評価して受賞とした。

 ●第5回(平成17年度)

受賞企業 業績課題 受賞理由
出光エンジニアリング(株) 独創的で高度な予測型設備管理によるものづくり プラントエンジニアリング会社として、豊富な経験ノウハウに基づき、独創的で高度な予測型設備管理の仕組み構築と設備診断ツールの提供により、設備信頼性、生産性向上やプラント災害の未然防止、労働安全など優れた成果をあげ、設備管理のあるべき姿を示した。

 ●第4回(平成16年度)

受賞企業 業績課題 受賞理由
ダイセル化学工業(株)
姫路製造所
網干工場
知的統合生産構築の取り組み 化学製品メーカーとして、独創的で高度なIT技術を開発・駆使し知的統合生産システムを構築した結果、生産性向上・製造技術の知的財産化や労働安全など優れた成果をあげ次世代型化学工場のあるべき姿を示されました。
日本プレシジョン・サーキッツ(株)
塩原テクノロジーセンター
知恵と腕の結晶IT産業の進化を支えるものづくり 先端ICの専門生産事業所として、高度な技術・ノウハウを保有し設備保全や設備改造なども自分たちの知恵と腕で積極的に実行した結果、故障件数やコスト面で優れた成果をあげ、IT産業の進化を支えるものづくりの姿を示されました。

 ●第3回(平成15年度)

受賞企業 業績課題 受賞理由
(株) アクトリー 環境に配慮した焼却炉設備技術とその製造 独自な無害化技術により国内最大稼働台数の実績を持つ産業廃棄物焼却炉メーカーとして、研究開発、設計の初期プロセスに注力し経営成果をあげている。 又、環境改善の産官学共同研究に参画し「ゴミにする前に資源にする」のコンセプトでリーダー的存在でありよってここに表彰する。
関西熱化学(株)
加古川工場
TPM活動を進化させたKpro活動による経営革新 製鉄用コークスの専業メーカーとして体質改善の為TPM活動を展開、それを進化させた独自のTOP活動により世界トップレベルの工場を達成した。 更に現在、世界のトップランナーになるべくKpro活動によって経営革新を積極果敢に取り組んでおりよってここに表彰する。
佐和鍍金工業(株) 品質重点の戦略による追随を許さない革新的ものづくり 製 鍍金処理の専門メーカーとして全自動ランダム制御表面処理装置の独自開発等によって製造リードタイムの革新的短縮や 直径2ミクロン球樹脂表面に10ナノメートル厚みの金鍍金処理の量産化技術を確立し業界オンリーワンの独自技術を武器に経営成果をあげ続けておりよってこ こに表彰する

 ●第2回(平成14年度)

受賞企業 業績課題 受賞理由
新東工業(株)
 
静圧造型機ACEの開発 「静圧造型機ACEの開発」は、画期的設備として鋳造品の品質向上と共にランニングコスト半減を達成し、ものづくり競争力の向上に大きく貢献しました。 よってここに表彰します。
(株)樹研工業 グローバル化に対応したビジネスモデルの構築 「重さ100万分の1グラム」世界最小歯車に代表される「世界にまねのできない微細金型・射出成形機・成形技術の開発」は、 これからのキー技術である微細加工技術を核とした日本のものづくりの一つのあるべき姿を示しましたよってここに表彰します。
ヤマウチ(株)
京都長田野工場
イノベーションとコミュニケーションを軸とした事業革新 「イノベーションとコミュニケーションを軸とした事業革新」は世界的な競争が厳しい中、国内外の顧客から世界標準と認められる品質、価格を実現し、 世界トップシェアを得るビジネスモデルを構築し、日本のものづくりの一つのあるべき姿を示しましたよってここに表彰します。
カルビー(株)
R&Dグループ
人の活性化とものづくり革新 全従業員を対象にした学習集団を構築することで、儲ける工場と従業員個人個人の活性化に成功されました。 その成果を新設シリアル生産ラインに反映され、設備管理上国内外で高く評価される、しかも数少ない楽しく見学できる工場を建設されました。よってここに表彰します。

 ●第1回(平成13年度)

受賞企業 業績課題 受賞理由
大 賞 ダイキン
(株)
滋賀製作所
市場変動に迅速対応のハイサイクル生産システム 「市場変動に迅速対応のハイサイクル生産システム」は、これからの日本製造業の新しいビジネスモデルを確立し、 将来中国にも負けない生産方式を提案し、日本の製造業の一つのあるべき姿を実証した。よってここに表彰する。
技術賞 富士フイルム(株)
足柄工場
LF部
レンズ付きフィルムの循環生産システム 「レンズ付きフィルムの循環生産システム」は、21世紀におけるものづくりのあるべき姿を構築し、 それを経済的にも成立することを実証した。よってここに表彰する。
技術賞 マイクロテクノ(株) 金型方案の革新 「金型方案の革新」は、中小企業にありながら鋳造プロセスを改善し、新しい技術を駆使し、鋳造製品の歩留まりを飛躍的に向上させた。よってここに表彰する。
貢献賞 (株)パトライト
三田工場
多品種少量生産に対応する生産方式(PANPS) 「多品種少量生産に対応する生産方式(PANPS)」は、21世紀の多品種少量生産システムに対応する生産方式を構築し、顧客満足度に大きく貢献した。よってここに表彰する。
奨励賞 (株)モルテン グローバル化に対応したビジネスモデルの構築 「グローバル化に応じたビジネスモデルの構築」は、市場が飽和する中で、 中国等との激烈な価格戦争に適用できる日本のものづくりの一つのあるべき姿を構築し、大きな成果をあげた。よってここに表彰する。
奨励賞 愛知機械工業(株)
熱田工場
加工点管理を徹底追及した製造技術の構築 「加工点管理を徹底追及した製造技術の構築」は、継続的な現場での改善活動により、飛躍的な生産性を向上させるとともに組立不良率を半減させた。よってここに表彰する。