【日時】 2013年12月21日(土) 13:00 〜 17:00
【場所】 TKP東京駅前カンファレンスセンター4階 ミーティングルーム
【出席者】 伊津見一彦,小越咲子,小越康宏,笠羽涼子,三浦靖一郎,南保英孝,白崎久美,武澤友広,学生(9名)
【活動報告】
下記3名の情報支援技術の開発に取り組むエンジニアから支援技術のシーズに関する話題提供があり,どのように就労支援に活用できるかについて議論した。今後の就労支援技術への応用について多数,案を創出できた。
南保英孝(金沢大学)
〈概要〉
小児科の専門医の協力によって集めた不登校児童の診断,治療データを基に、これまでに開発した不登校診断・治療支援に関するデータベースを紹介した。
○ 決定木、判別分析などを用いて、設問数が少なく回答が簡単な問診票を用いた心身症的愁訴を有する不登校の診断を行うシステム
○ 決定木、サポートベクターマシーンを用いて、心身症、適応障害、不安障害などを鑑別するシステム
○ 問診や基礎情報のデータが似ている患者に対し、うまく行った対応を推薦する治療支援システム
〈質疑/コメント等〉
○ 診断結果を1つだけ提示するのではなく、該当する可能性が高い情報を複数提示する方が良いのではないか。
○ データベースに利用する問診票や調査票の回答の客観性をどのように担保するかが課題である。
○ 問診票や調査票の項目が多いと回答の負担が大きいため、障害の鑑別や症例の類型化に効果的な項目を抽出し,問診票や調査票を構成してはどうか。また,回答をゲーム感覚で行えるような問診票や調査票を作成できると,項目が多くても回答に対する負担感を軽減できるのではないか。
○ 学校の移行の際に,入学前に生徒の状態象をあらかじめ把握しておくための評価ツールとして使用すると有用なのではないか。
小越康宏(福井大学)
〈概要〉
センサを用いた独居高齢者の行動把握システム,学校と家庭の児童に関する情報共有システム,発達障害児を対象とした表情認知や呼気調整のトレーニングシステムなど多岐にわたる開発品を紹介した。その上で,それぞれの開発研究で得られた知見を国際機能分類(ICF:International Classification of Functioning, Disability and Health)でコーディングすることで,研究間で知見の共有が可能になり,統合的な人間理解に貢献するというアイディアを提示した。
〈質疑/コメント等〉
○ 障害者の困り感を抽出するためには,特定の支援機関の情報だけでなく,複数の支援機関の情報が必要であるが,各支援機関が利用しているシステムが違うので,システム間の連携も必要であろう。
○ 発達障害者の特性として感覚過敏や偏食などがあるが,ICFで表現できるのか。
→ 既存のコードで対応できないものについては,コード化を提案する必要がある。
伊津見一彦(株式会社 インフォセンス)
〈概要〉
仕事で使用する装置や工具をカメラで撮影すると,その使用手順のマニュアルが表示される教育支援装置について説明と実演を行った。
〈質疑/コメント等〉
○ 非常に簡単に使えて分かりやすいシステムであり、就労支援に利用できる可能性が高い。
○ 工具を片づける場所や工具を使った作業手順を教えたりと,支援の対象範囲も幅広くできそうである。
○ 装置の導入当初は,ジョブコーチが利用支援を行うと導入が円滑になるのではないか。
○ 使用手順のマニュアルを自作できるとのことであるが,この作業自体,情報を整理することが好きな発達障害者にとっては,楽しい作業になりえるし,作成作業自体も学びにつながりそうである。
報告者: 小越 咲子