第25回 研究会の活動報告

【日時】 令和3年3月14 () 13:0015:00


【方法】 WEB会議


【出席者】 榎本容子、白﨑久美、武澤友広,南部淳子、南保英孝、丸山正男、山中康弘、非会員4名(計11名)


【活動報告】


 株式会社ジョリーグッドの畠田隆行さんを講師に迎え、「VRを活⽤した発達障害⽀援向け教材「emou」のご紹介」と題して、VRを用いたソーシャルスキルトレーニング教材についての話題提供をしていただきました。スキルの学習というと必ず話題にあがるのが、教室での学習場面ではできていたことが職場などのスキルの使用が期待される場面でできなくなってしまうという「般化の問題」です。VRは実際の職場環境に近い場面を構築した上でスキルの学習ができるため、「般化の問題」を克服し得るアプローチといえます。また、失敗を恐れず繰り返し練習ができ、実際に職場に行かなくても視覚上で職場の環境を構築できるといった「時間と場所の制約を受けにくい」特性により、学校における職場体験や職業訓練への活用も期待できます。


 今回、紹介していただいたソーシャルスキルトレーニング教材は、7〜18歳の児童生徒を対象としていました。教材の内容としては、①学校での他者との交流に関する場面が提示される、②学習者は任意に行動の選択肢から一つを選ぶ、③行動の結果が提示される、というもので、①状況、②行動、③結果の連合関係を学習するものです。就職の面接試験という場面も用意されており、就労移行支援の教材としても活用できそうです。特に興味深かったのが、動画を視聴中の学習者の視線の軌跡を記録できる点です。対人場面で学習者がどこに注意を向けているかを可視化することで、自分の認知と行動の関連性についての理解を深めることにつながることが期待できます。また、本人の予測できない言動に戸惑っている周囲の人たちが「本人が何に注意を向けていたために、そのような言動になったのか」をひもとく手段としても視線の可視化は有効かもしれません。このような分析がお互いのつながり方を見つめなおすきっかけをあたえてくれるのではないかと期待しています。


 話題提供の後、質疑応答を行いましたが、参加者からの質問が途切れることなく、本教材に対する関心の高さがうかがえました。興味深い技術の紹介ありがとうございました。ご興味のある方は是非、ジョリーグッドさんのホームページ(https://jollygood.co.jp/)もご覧ください。


 


報告者:武澤友広